「心のまま旅をする」Aさん、初めての夏の計画 file6

Aさんは70歳代の男性。2型糖尿病があり、毎日インスリンを自分で注射して生活していました。
しかし、徐々に血糖値が悪化していき診療所の先生のすすめで、「訪問看護」が開始となりました。

Aさんは90代のお姉さん2人と一緒に暮らしていて、買い物や通院以外は家の中で過ごしていました。
訪問の日はいつも午後。Aさんは2階で寝ており、階段の下からお姉さんたちが「看護師さん来たよ〜!はよ起きて〜!」と声をかけてくれていました。
Aさんが降りてくるまでの時間は、お姉さんたちとのおしゃべりの時間であり、笑ったり、昔の話をしたり、あたたかな空気が流れていました。そんな中、髪が寝ぐせで跳ねたまま、Aさんが「ごめんな〜、寝てたわ」と慌てて降りてきます。それが看護師との距離を少しずつ縮めるきっかけになったのです。

看護師は、Aさんと一緒にインスリン注射の打ち方や量を確認していました。
注射の前には「空打ち」といって、注射液がちゃんと出るか確認する作業があるのですが、Aさんはニコニコしながら針を天井に向けてビューッとインスリン液をたくさん飛ばします。Aさん「これくらい飛ばさないと液がが出てるか分からへんねん」と笑いながら。看護師「インスリン液で虹ができそうですね」と返し2人で笑い合うそんな時間が流れていきました。

訪問看護を始めて6年目、Aさんは明るくなり、話す言葉も増えてきました。
ある時、看護師が「外にも出てみませんか?」とデイサービス、デイケアをすすめると、「めっちゃ楽しい場所やな!」と話し週5回も通うようになりました。

リラックスしているおみ君

その後、Aさんには大腸がんが見つかりました。手術と抗がん剤治療が始まりました。その3カ月後、Aさんは「ひとりで船に乗って九州旅行したい!今しかないねん」と話されました。
病院の先生とも何度も相談し、「帰ってきたら治療を再開する」ということで話がまとまりました。

旅行の前日、看護師と一緒にインスリン注射や薬をリュックに準備しました。
そのリュックには、旅への期待だけでなく、「病気とともに生きていく」と決めたAさんの勇気も詰まっているようでした。Aさんは、自分で舵をとる人生の旅に出ました。続く・・・・・・。

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